第十一番 

 

 

疲れるほどに、歩いただろうか。  

 

月の光は答えてくれぬ。 

 

絶望するほど、愛しただろうか。

 

森の風は歌ってくれぬ。

 

嘆くほどに、生きただろうか。

 

日の光は叱ってくれぬ。

 

明日に何があるだろう。

 

思えば何もないだろう。

 

明日も何もないだろう。

 

知れば全てがあるだろう。

 

 

 

 

 

第十二番 

 

 

走りなさいという者がいて。  

 

休みなさいという者がいる。  

 

愛しなさいという者がいて。

 

忘れなさいという者がいる。

 

それは罪だという者がいて。

 

これがだという者がいる。

 

振り子は揺れて生きていて。

 

振り子はそれでも楽しくて。

 

 

骨身を削って右左。

 

命を蹴散らし右左。

 

 

他人の為だという者がいて。

 

自分の為だという者がいる。

 

振り子は止まることできず

 

振り子は悩み苦しみもがき。

 

 

血を吐きながら右左。

 

命を投げ遣り右左。

 

 

ようやく止まったその時は。

 

振り子は振り子でなくなって。

 

ただのおもちゃの成れの果て。

 

見向きもされぬ木切れの兵。

 

 

 

 

 

 

第十三番

 

 

 

一つあっても二つが欲しい。  

 

二つは不安で三つが欲しい  

 

三つが叶えば四つが欲しい。 

 

四つを見たら五つが欲しい。

 

五つを知れば六つが欲しい。

 

六つに続きの七つも欲しい。

 

七つは足らず八つが欲しい。

 

八つ越したら九つ欲しい。

 

九つ揃えば十欲しい。

 

十を抱えて零になる。

 

 

 

 

 

第十四番

 

 

つまんない。  

 

空がどんなに青くとも。

 

つまんない。 

 

花がどれほど咲こうとも。 

 

つまんない。 

 

海がどれほど光ろうと。

 

つまんない。

 

誰が泣こうと笑おうと。

 

そんな私に朝が来る。

 

雲雀が歌う朝が来る。